父がずいぶん昔に、といっても私達が子どもの頃、植えたらしい。
吉野桜が散り終わって心さびしくなる頃、クルクルッと蕾をほどき、薄いピンクの八重の花びらをひろげる。いつもたくさんの花を咲かせて、春の庭がはなやいでいた。
父が年老いていくのに合わせたように、木も衰えがみえ始め、枯れ枝が増えてきた。
脇芽が何本も出てきたので、母があちこちに植えたらしい。
いまでは本家本元は細い1本の木が残るだけ。
植えた張本人は何処へいったやら。
母が丁寧に植えなおした木は、毎年あい変わらず薄いピンクの八重の花を咲かせている。






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